テーマパークが抱える人財管理業務の課題をチームワークと技術力で
解決。プロジェクトメンバーが語る仕事の難しさとやりがい
Project Story プロジェクトストーリー
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清水 結 2002年入社
システム開発エンジニア
プロジェクトマネージャー -
細谷 裕貴 2010年入社
システム開発エンジニア
プロジェクトマネージャー
補佐、
画面機能リーダー -
渋谷 七瀬 2009年入社
システム開発エンジニア
バッチ処理リーダー -
酒井 康平 2018年入社
システム開発エンジニア
アプリケーション開発
当社エンジニアが、お客さまが求める機能や解決すべき事項などのヒアリングから入り、課題解決したシステム開発サービスのプロジェクト事例を紹介します。人財管理に課題を抱えていたテーマパークの運営などに携わる企業の人財情報をワンストップで扱えるようにし、お客さまと共にデザインしたわかりやすいUIにより人財管理業務の負荷を軽減。お客さまの課題を解決するために当社エンジニアが大切にしていること、プロジェクトマネジメントの難しさ・やりがいを語ります。
人財情報管理システムをゼロから開発
「これは大変な仕事になる」
清水結は覚悟を決めていた。日立チームの中心となって受注のために尽力し、プレゼンテーションも担当しただけに、これから始まるプロジェクトの困難さを誰よりも理解していた。
2019年の秋に彼らが受注したプロジェクトは、エンターテインメント企業の人財情報管理システムの構築だった。背景には、テーマパークなどで働く膨大な数のスタッフを管理することの難しさがあった。「当時は人事に関する多様で複雑な情報を各人がローカルな環境でExcelを用いて管理していたので、現場管理者にものすごい負担がかかっていました。それを改善しようというのがこのプロジェクトでした」と清水は説明する。「これらの問題を解決させるために、私は『対比』で考えました。それまで紙だったものをデータに、記憶を記録に、複雑な業務はシンプルにしていく必要があるというわけです」
とはいえ、それは容易なことではない。初めてのお客さまで、既存のシステムがあるわけでもなく、パッケージを適用できる部分もない。すなわちゼロベースで新規作成しなければならないのだ。プロジェクトマネジメントを担う清水の責任は重大だった。

ゼロを1にできる人財を確保
そこで清水はまず人財の確保に奔走した。お客さまの求める高品質なシステムをつくり上げるためにはゼロを1にできるエンジニアが必要だと考え、細谷裕貴と渋谷七瀬をプロジェクトチームに入れてほしいと会社に要望を出したのだ。「清水さんとは入社した時からの付き合いです」と語る2人は清水の部下として活躍した実績がある。今回のような難しいプロジェクトでも「この2人がいれば技術面は任せられるので、自分はお客さまとの調整や進行管理などのプロジェクトマネジメント業務に専念できました」と清水は語る。
こうして細谷と渋谷は2020年1月からプロジェクトに加入。チームの総人数は協力会社も含めて15~20人程度で、フェーズに応じて増減はあったものの、プロジェクトマネジメント補佐と画面機能リーダーを兼任する細谷とバッチ処理リーダーを務める渋谷は一貫して清水を支え続けた。
そこへ襲いかかってきたのが新型コロナウイルス感染症だ。全国的に外出の自粛が推奨され、エンターテインメント業界はかつてなく大きなダメージを受けた。支出を抑えるため、進められていたIT関連のプロジェクトの多くが中断されたという。
しかし、このプロジェクトは経営陣の判断によってそのまま継続された。「それだけお客さまにとって大切なシステムだったのです」と清水は強調する。

若手の活躍で難所をクリア
こうしてプロジェクトはコロナ禍の中でもどんどん進んでいった。しかし、ゼロベースでの新規作成ゆえに、彼らの前に立ちはだかる困難は少なくなかった。この状況に対応するべく、清水は人員を補強することにした。そこで加わったエンジニアの一人が、当時入社3年目の酒井康平だ。
最初は渋谷の下でバッチ処理を担当していた酒井だが、「割り振った仕事を予定よりも早く終わらせてくれたので、画面の一番難しいところをやってもらいました」と清水は笑う。それは現場管理者の引継ぎに関する機能だった。「現場管理者の間で情報を共有する伝言板のような機能があるのですが、新規でメッセージが入ることもあれば更新されることもあるし、役職とか部署による閲覧権限も付けなければいけません。さらに、複数の部署を兼任されていてそれぞれ役職が異なる、というようなケースも考えられます」と酒井は説明する。
このように要件が非常に複雑だったにもかかわらず、酒井が設計した部分は完成度が非常に高くお客さまにも好評で、今回は導入を見送った部署でも「次の機会にぜひ導入したい」という声があがっているという。

安全と品質が何よりも大切
その夏、プロジェクトチームはユーザーを招待してワークショップを開催し、開発中のシステムについてスライドで説明した。「ものすごく受けが良くて、これが現場管理者の皆さんが求めているシステムだと改めて実感しました」と清水は振り返る。
とはいえ、すべてが順調に進んだわけではない。テストを進めていく中で品質の悪化に伴う作業遅延が発生したことから、納期を当初の予定よりも3カ月ほど遅らせるよりなかった。清水にとっても苦渋の決断ではあったが、「納期やコストも大切ですが、それ以上に安全と品質を優先させる『S(Safety)>>Q(Quality)>D(Delivery)>C(Cost)』が日立グループの判断基準」という彼に迷いはなかった。
紆余曲折を経てリリースに至ったこのシステムだが、3年以上にわたって大きな障害は1度もなく、現在に至るまで安定稼働を続けている。「日立グループの技術者として何より大切なのは安全と品質ですから、この点は非常に良かったと思います。使い勝手も良く、リリースの半年後に実施したヒアリングでも高い評価をいただきました」と清水は胸を張る。

経験を生かして、より大きな仕事を
リリース後しばらくこのプロジェクトから離れていたという渋谷は、2022年に戻ってきて開発・保守に携わっている。このシステムは今年度に次の開発が行われることになっていて、彼女がプロジェクトマネジメントを担う予定だ。「いろいろと要望をいただいていて、システムに対する期待の高さを実感しています。この会社には清水さんをはじめ良い先輩がたくさんいるので、皆さんから教わったことを生かして、今まで築き上げてきたお客さまの信頼を崩さないように、しっかりと取り組んでいきます」と渋谷は意欲を燃やしている。
細谷もその後、いくつかのプロジェクトでプロジェクトマネジメントを担った。「苦労はいろいろとありますけれど、例えば問題が発生した時にどう対応するかとか、清水さんの姿勢を見習いながら、プロジェクトを成功に導いていきたいと思っています」と語る。
そして、プロジェクトマネジメントを担った清水は、今後の展開も見据えている。「このシステムは他社にも応用できるので、ここで得た知識を生かして、ほかのお客さまに提案したり、新たなサービスを生み出したりしたいと考えています。それから、ピープルマネジメントとしてはともに働く仲間を大切にして、達成感を分かち合える仲間をさらに増やしていきたいですね。身につけた技術を生かすだけでなく、チームを率いてお客さまの課題を解決するのも非常にやりがいが大きい仕事ですから、いつか大きなプロジェクトを動かしたいという人がどんどん入ってきてくれたらいいなと思っています」
彼らの活躍フィールドは、無限に広がっている。
