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  • 2022.10.01
  • 2024.10.01
  • 物品管理システム

固定資産台帳はなぜ必要?エクセルでの作り方や、メリット・デメリットを解説

物品管理システム

企業が保有している固定資産を細かく管理するために「固定資産台帳」は欠かせません。一方で、単に管理する以外にも固定資産台帳を使う目的があります。
今回は、固定資産台帳の概要や目的、さらにエクセルでの作り方やそのメリット・デメリットなどについて解説します。これから資産管理を始めようと考えている方や台帳の作成方法をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事に掲載している情報は2024年9月時点のものです。

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固定資産管理とは?

そもそも固定資産管理とは、企業が保有している固定資産を細かく管理するための業務です。ちなみに、固定資産は次のように定義されています。

  • 保有・使用期間が1年を超えるもの
  • 事業のために使用し、販売目的ではないもの
  • 一定以上の取得価額であるもの

「もの」と称していますが、ソフトウェアや特許権、商標権、営業権などの無形物も固定資産に含まれます。取得価額が10万円未満/1単位のものは経費処理となります。ただし、特例によって30万円未満までのものを経費処理できるケースもあり、取得した物品に応じて固定資産に該当するか否かを確認することが大切です。

固定資産と流動資産の違い

固定資産と流動資産には現金化がしやすいか否かの違いが存在します。

具体例として、固定資産は土地や建物、ソフトウェアといった耐用年数があり、年数が経つにつれて劣化や性能の低下が起こるものです。

一方、流動資産の例として、約束手形や、商品、売掛金といった簡単に現金にすることができるものが挙げられます。

なぜ固定資産管理が必要なのか

それは固定資産を管理する義務があるからです。日本の法律では企業が保有している固定資産に税金が課せられます。固定資産税の標準税率は1.4%であり、毎年1月1日時点で事業経営に使われている固定資産に対して課せられます。

このように固定資産には税金がかかるため、正しい固定資産税を計算するために固定資産管理が欠かせません。

固定資産管理の目的

固定資産管理を実施する目的について、もう少し掘り下げてお話します。なぜ固定資産管理が欠かせないのか、それは「正しい管理」「減価償却」「固定資産税」の3つがポイントです。

固定資産を正しく管理する

企業が保有しているすべての固定資産が、どこに・どのように保管されているのか、その使用状況などを総合的に管理する必要があります。これは取得した固定資産の管理漏れによる、固定資産税の未申告を防ぐためです。

また、固定資産の使用状況を正確に把握することで、その必要性なども判断できます。使われていない固定資産を所有し続けると、固定資産税が余計にかかります。そのため固定資産の必要性を判断し、不要なものは除却することで固定資産税の節約にもつながります。

減価償却を正確に行う

減価償却とは企業が取得した固定資産に対して、国税庁で定められた耐用年数に応じて取得価額を少額ずつ償却(費用として計上)していくことを意味します。

企業が保有している土地を除けば、ほとんどの固定資産は償却資産にあたります。建物も車両も、機械設備にもすべて耐用年数が定められており、年数の経過に応じて「価値が下がっていくもの」と考えられているためです。

したがって、償却資産は取得価額を一気に費用計上するのではなく、耐用年数に応じて償却していく必要があるのです。

固定資産管理を行うと、固定資産ごとの取得価額や耐用年数、使用年数などを管理しながら正しい減価償却費も計算できます。計算が正しくなければ税務調査が入った際に、脱税を疑われる可能性もあります。

固定資産税を厳密に把握する

減価償却を正確に行うことは、固定資産税の厳密な把握と申告にも役立ちます。また、固定資産ごとに課せられている税金を計算してみると、固定資産の見直しにもつながります。

企業がその利益を増やすためにできる対策の1つが「節税」です。企業は事業経営のために多種多様な固定資産を保有しているため、それぞれの固定資産税を把握し、切り捨てられる部分は切り捨てることで節税効果が期待できます。

固定資産管理の方法

固定資産管理の方法は大きく分けて3つあります。「紙の台帳」「エクセルの台帳」「システム」の3つです。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

紙の管理台帳を使う

紙の管理台帳はシンプルな管理方法であり、インターネット上でテンプレートをダウンロードすればすぐにでも始められます。固定資産の状況を紙に記入するだけなので、ITに苦手意識を持っている方でも使えるのがメリットです。

また、印刷コストも小さいのでコストも大きくなりにくい点もメリットといえます。

一方で、紙の管理台帳は紛失・破損しやすいのがデメリットです。うっかり飲み物をこぼして使用不可になったり、管理場所を徹底せずに紛失したりといったことが起こり得ます。その際は新たに手作業での転記が必要となるため、キーボード入力に比べて作業時間もかかるでしょう。

また、キャビネットを占有するため保管スペースにもコストがかかっていることを忘れないでください。

エクセルで管理台帳を作る

固定資産管理を始める企業の多くはエクセルを使用するでしょう。シンプルな操作で管理台帳を作成でき、キーボードで情報を入力するだけで固定資産を管理できるので便利なツールです。

さらに、固定資産管理以外の業務でも使用している場合が大半のため、、追加の導入コストも発生しにくいです。

一方で、セキュリティリスクや入力ミスといったデメリットもあるため、注意が必要です。詳しいメリット・デメリットについては、後に説明します。

システムを利用する

固定資産管理システムを導入するのには、紙やエクセルでの管理以上に大きなコストがかかります。中小企業向けのパッケージシステムを導入する場合でも、少なくとも数十万円の導入費用がかかるケースが多いでしょう。こうしたコストはシステムのデメリットだといえます。

一方で、紙やエクセルによる固定資産管理とは違い、企業によっては業務効率を大幅に向上できるというメリットがあります。数万件のデータもスムーズに処理し、システム間の連携も取れるため固定資産管理にかかる工数を大幅に削減できるためです。

固定資産管理の方法に正解はありません。「自社の現状や方針に合っているか」が、固定資産管理の方法を決めるうえで大切なポイントとなりますので、事前によく検討しましょう。

固定資産管理をエクセルで行うメリット

それでは、多くの企業が採用している方法であるエクセルでの固定資産台帳作成について、そのメリットを詳しくご紹介します。

追加費用がない

まず、多くの企業がエクセルを標準的に導入しているため追加費用が発生しません。また、エクセルを導入していない企業の場合は、Googleスプレッドシートを使うなどの選択肢もあります。

システムの導入では数十万円のコストがかかるケースも少なくないため、追加費用がかからないのはエクセルで固定資産管理を行う大きなメリットです。

専門的なITスキルが要らない

基本的な操作であれば、エクセルの使用に高いITスキルは必要ありません。関数やマクロを使うことはできなくても、エクセルを起動して文字を入力したり、保存したりフォルダの場所を移動したりはほとんどの人ができる操作です。

一般的なITスキルのみで扱えるため、人を選ばず固定資産管理ができます。

オンラインで共有できる

エクセルで作成した管理台帳は、オンラインストレージに置くことで組織全体で簡単に共有できます。また、税理士に固定資産税の計算を依頼する場合もスムーズに共有可能です。

オンラインで共有したエクセル管理台帳は設定によって共同編集も行えるため、組織全体で使用するにも便利です。

固定資産管理をエクセルで行うデメリット

メリットがある一方で、エクセルで行う固定資産管理にはデメリットもあります。どちらが大きいかは企業によるため、デメリットもしっかりと把握したうえで、エクセルの利用を判断しましょう。

データの流出・紛失リスクがある

エクセルでの固定資産管理において、場合によってはデータを流出したり紛失するリスクがあります。

まず、データは容易にコピーできるため、気づかない間に情報を持ち出されてしまう可能性があります。また、操作ミスによる管理台帳および一部内容の紛失や誤送信による漏えいなども起こり得ます。特に、近年ではクラウドサービスから漏えいしてしまう事例も発生しているため注意しましょう。

こうした漏えい事例の原因として「本来は自社の従業員しか閲覧できないようにするべきであるはずが、不特定多数が閲覧できる設定になってしまっている」「セキュリティ意識の不足によりデータを社外へ持ち出してしまった」などが挙げられるようです。

このように、操作を行う人員含め運用ルールを徹底しないと、情報流出・紛失リスクが伴うため、利用は慎重に検討しなければいけません。

入力ミスが起きやすい

エクセルでは人間が情報を入力するため、ミスが発生することも多いです。また、運用ルールを厳格に定めないと社員おのおのが異なる表記で情報を入力し、情報の検索性も大きく低下します。

固定資産台帳は、すべての固定資産情報を登録するだけでなく、必要な時に検索して情報を抜き出す役割もあります。しかし入力ミスや表記の違いによって情報の検索性が下がると、業務に支障をきたす可能性もあります。

手作業による入力だけでなく、RFIDやQRコードといった自動入力が可能なツールの活用も検討してみましょう。

このようなツールは抜け漏れの軽減だけでなく、業務の効率化といった副次的なメリットも多く存在しています。

関数が複雑になる

エクセルでの固定資産管理を便利にしようと、さまざまな関数やマクロ(VBA)を組み込むことがあります。一方、組み込まれた関数やマクロが多いほど仕様が複雑になり、エラーも起きやすくなります。

複雑になったエクセルはエラーが発生しても、原因を特定するまで時間がかかってしまい、修正も容易ではありません。しかし、データ量によっては関数やマクロを使わなければエクセルでの効率化を図れないということもあるため、バランスを取るのが難しいのです。

ただし、マクロはバージョンの更新を機に動作しなくなってしまう場合があるといったデメリットも存在します。そのため、エクセルでの管理に限界を感じた場合はシステムの導入も検討しましょう。

同時に操作できず最新のデータにアップデートすることが難しい

エクセルでの操作は複数人で同期して行うことができないというデメリットが存在します。

類似サービスとしてGoogleの提供するGoogleスプレッドシートが挙げられます。しかし、スプレッドシートはURLの誤送信や閲覧権限の誤付与に気をつけなければ情報の漏えいをしてしまうリスクがあります。そのため、リアルタイムな管理かつ、高いセキュリティを求める場合はシステムの導入を検討してみるとよいでしょう。

エクセルで固定資産管理シートを作る方法

ここでは、エクセルで固定資産台帳を作る方法をご紹介します。先述のメリット・デメリットを踏まえ、エクセルで固定資産管理を行う場合は参考にしてみてください。

1.必要な項目を作る

まずは固定資産管理に必要な入力項目を作りましょう。一般的には次の項目を作り、固定資産を管理します。

  • 資産の名称…購入した固定資産の名称や型番
  • 資産の管理番号…当該資産を管理するための番号
  • 資産の種類…機械設備、不動産、車両など
  • 資産の取得価額…資産の購入·取得にかかった費用
  • 資産の取得日…資産を購入·取得した日
  • 使用年月日…資産を使い始めた日
  • 資産の数量…資産ごとの数、同種類の場合は連番管理する
  • 耐用年数…国税庁の耐用年数表にしたがった耐用年数
  • 償却方法…定額法や定率法などの償却方法
  • 償却率…国税庁の耐用年数表にしたがった償却率
  • 償却額…耐用年数が満了するまでの償却額
  • 設置場所…資産を設置している場所
  • 備考…その他記録しておくべき事柄

2.資産情報を入力する

次に、現在保有している固定資産情報を入力していきましょう。
ここでのポイントは、入力する情報の表記方法を統一することです。例えば「型番は英数字も全角入力」など、表記方法を統一することで、必要な情報を抜き出す際の検索性がアップします。

3.シートを共有する

作成した固定資産台帳はオンラインストレージで共有しましょう。「オンラインストレージに保管することで共同編集が可能になるだけでなく、外出先からも固定資産台帳をチェックできるようになります。

4.運用ルールを作る

最後に、固定資産台帳の厳格な運用ルールを設けましょう。ルールがないまま固定資産管理を行うと、それぞれ異なる方法で情報を入力し検索性が下がるだけでなく、情報管理のミスも起こりやすくなります。適切な運用ルールを設け、順守を徹底することが大切です。

物品管理システムで固定資産管理が楽になる

物品管理システムとは、固定資産を含めて企業のあらゆる物品を統合管理するためのシステムです。日立システムズエンジニアリングサービスにおいても、大規模な固定資産管理にも対応できる物品管理システムを提供しています。

システム化のメリットはRFID(無線タグ)などの技術を使用し、固定資産管理にかかる工数を大幅に削減できることです。

例えば実地棚卸の際に各固定資産にRFIDを設置すれば、ハンディターミナルでタグを読み取るだけで業務が完了します。台帳管理機能も備わっており、情報の登録・確認もスムーズに行えます。

RFIDは数m離れていても検知され、バーコードリーダーのようにハンディターミナルを近づけなくてもデータを読み取れます。これにより業務スピードが向上し、また目視による読み違いのリスクも排除できます。従来の棚卸の作業時間が10分の1となった事例もあります。

エクセルによる固定資産管理はデメリットを強く感じる、あるいはすでにエクセルで管理しているが限界を感じているという方は、この機会に物品管理システムによる固定資産管理をぜひご検討ください。

まとめ

エクセルは固定資産台帳を作成したり、関数やマクロを組むことで自動計算・処理を行ったりできる便利なツールですが、場合によっては限界があることも覚えておきましょう。固定資産管理を始める際は、どの方法が自社に合っているかをよく見極めて、正しい選択をしましょう。

※本記事における価格情報記載はすべて税抜表記です。
※Microsoft、Windows、Windows 10およびMicrosoftのロゴは、米国およびその他の国におけるMicrosoft Corporationの登録商標または商標です。
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