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  • 2024.03.01
  • 2024.03.01
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BCP対策とは?義務化された背景や国内事例を簡単に解説

Synology

BCP対策は、災害やウイルスまん延といった緊急事態が起きても、被害を最小限に抑え事業を継続する重要な仕組みづくりです。

本記事では、BCP対策の概要、義務化された背景、国内の実施事例などについて解説します。

※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです

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BCP対策とは?簡単に紹介

BCP対策(事業継続計画)とは、企業が次のような被害に遭っても事業継続できる環境を整備する仕組みづくりのことです。

  • 地震
  • 豪雨
  • 洪水
  • 台風
  • 大規模火災
  • テロ
  • ウイルスまん延

大陸プレート・海洋プレートの境界に位置する日本では、頻繁に地震が発生し、建物を倒壊させるような大地震が発生することも多々あります。

また、気候変動の影響を受けて頻発化しているゲリラ豪雨と、大雨に伴う洪水による被害も甚大です。さらには、世界規模で発生しているテロや新型コロナウイルスのまん延により、人間活動に大きな変化が生まれています。

もちろん、上記のような緊急事態を完全な形で避けることはできません。しかし、企業として被害を最小限に抑える方法はあります。社内データのバックアップや遠隔地にあるクラウドサーバーを活用するなど、トラブルが起きた際の備えとしてBCP対策が重要です。

BCMとの違い

BCP対策とよく間違われやすいのが、BCM(事業継続マネジメント)という取り組みです。

BCMとは、BCP対策で策定された計画の運用マネジメントを実施することを指します。PDCAサイクルに基づき、計画、実行、チェック、ブラッシュアップという手順で品質向上をめざしていくのが一般的です。参考として、BCP対策とBCMの違いを以下に整理しました。

  BCP対策 BCM
策定の順番
策定内容 緊急事態が起きた際の対策を策定する 緊急事態が起きる前にBCP対策を
確実に機能できる対策を策定する

2つの取り組みは、いわば相関関係にあります。策定されたBCP対策が緊急事態時に正しく機能するように、平常時にマネジメントを実施して、もしものトラブルに備えるのがBCMの役割です。

防災対策との違い

もうひとつ、BCP対策と混在しやすいのが「防災対策」です。普段からよく耳にする防災対策との違いがわからない方も多いでしょう。参考として、BCP対策と防災対策の違いを表に整理しました。

  BCP対策 防災対策
対策の目的 事業継続・復旧 従業員や設備の安全確保
対策の対象 事業 人命・設備

BCP対策が事業継続や復旧に特化した対策である一方、防災対策は従業員の人命や建物設備の安全確保が目的です。同じ緊急事態の備えではありますが、対象が事業なのか、人命や設備なのかという違いがあることに注意してください。

BCP対策が義務化された背景

BCP対策は、介護施設という一部の業界だけではありますが、対策の義務化が進んでいます。

義務化が進む要因となったのが次の国内トラブルです。

  • 東日本大震災(2011年3月)
  • 西日本豪雨(2018年6月)
  • 新型コロナウイルスのまん延(2020年1月)

自然災害等の度重なる被害を受け、日本国民への影響はもちろん、廃業に追い込まれた企業も数多く存在します。

今後さらなる被害が起きる恐れがある一方で、十分な対策ができていない企業も多いことから、BCP対策の義務化が推進されるようになりました。

BCP対策の目的

BCP対策の目的を3つにまとめました。

  • 事業を守る
  • 企業価値を維持向上する
  • 地域社会に貢献する

なぜBCP対策を実施すべきなのか、詳しく説明します。

事業を守る

BCP対策は、企業が自然災害や火災、テロ攻撃といった甚大被害を受けても、すぐに事業を建て直せる体制を整えるのが目的です。

例として、次のような取り組みを実施します。

  • 社内システムをクラウド化する
  • データのバックアップを遠隔地に保管する
  • 事業の優先順位を決めておく
  • ライフラインの供給停止を想定して社内に非常用電源を設置する

また、事業を守ることは従業員の生活を維持することにもつながります。

企業価値を維持向上する

BCP対策は、企業価値の維持向上としても役立ちます。

例えば、BCP対策を実施している企業であるとアピールすることで、安全な取引先であると伝わり、受注率が高まりやすくなるでしょう。また、BCP対策で事業の安定性をアピールすれば、求人数の増加も期待できます。

地域社会に貢献する

BCP対策は、間接的に地域社会への貢献につながります。

なぜなら、事業を維持して業務を継続的に実施できれば、緊急事態が起きた際でも安定してサービスを提供し続けられるからです。例えば、飲食店がBCP対策を実施し、実際に自然災害が起きても事業を継続し続ければ、被災した人たちに食料を届けることができます。

また、事業継続で人々の動きがよくなれば経済が回り、早期復興を実現しやすくなるのが魅力です。

BCP対策のメリット

BCP対策のメリットを以下の4つにまとめました。

  • 緊急時のリスクを管理できる
  • 競合他社と差をつける
  • 信頼性が向上する
  • 社内コミュニケーションが強化される

企業で策定するBCP対策が、どのように役立つのかぜひ参考にしてみてください。

緊急時のリスクを管理できる

BCP対策を実施すれば、次のような緊急時のリスクを必要最小限に抑えられるのがメリットです。

  • システムの破損により事業を継続できなくなる
  • 社内データが紛失してしまう
  • ライフラインが止まり業務を継続できなくなる

データのクラウド化、バックアップ体制の強化、非常用電源設備の導入などを実施することにより、緊急事態後も被害を抑えつつ業務を継続できます。

競合他社と差をつける

BCP対策を実施すると、競合他社との違いを生み出せるのがメリットです。

2024年時点でBCP対策が義務付けられているのは、介護・福祉関連の業界だけであり、それ以外の業界は依然として、BCP対策が不十分な企業が多いです。BCP対策を実施することが競合他社との差になることはもちろん、緊急事態への備えを取っていると伝わることで、業務受注や人材確保をしやすくなるのが魅力です。

信頼性が向上する

BCP対策は、企業ブランディングとしての効果があり、周囲からの信頼性を獲得できるのがメリットです。

自然災害等が頻発する日本において、BCP対策を策定すること自体が周囲へのアピールになります。さまざまな供給がストップするなか、自社のサプライチェーンを維持できる企業は、被害を受けた地域を窮地から救い、高い信頼性を獲得できるのが魅力です。

社内コミュニケーションが強化される

BCP対策を策定すれば、自然と社内コミュニケーションが強化され、組織全体の一体感を生み出せるのがメリットです。

従業員が協力して働く企業において、社内コミュニケーションや連携体制は必要不可欠な要素だといえます。BCP対策の策定をきっかけに従業員同士の情報共有を実現すれば、不足していた社内コミュニケーションが改善し、統制の取れた緊急対応を実施できるでしょう。

BCP対策の策定の流れ

BCP対策を策定する流れを以下の5つに整理しました。

  1. BCP対策の基礎情報を従業員に周知徹底する
  2. BCP対策の対象となる事業の優先順位を決める
  3. 緊急事態に起こりうる問題をピックアップする
  4. 事業継続のために実施できる取り組みを策定する
  5. 実際にBCP対策が機能するのかをテストする

BCP対策の策定は、あらかじめ従業員へ周知することが重要です。

BCP対策は社内全体で取り組む対策であり、事業に関わる担当者の意見を取り込むために、意識づけを実施しなければなりません。

また、トラブル発生原因が企業ごとに異なるので、各事業担当者とともに、将来起こりうる問題を抽出する必要があります。自社で起こるかもしれない問題とその対策を考えたら、実際に災害等が起きたと想定して、事業停止のリスクを抑えられるのか検討してみてください。

BCP対策を運用するコツ

BCP対策を運用するコツを以下の4つに分けて紹介します。

  • 継続的にブラッシュアップする
  • 従業員にBCP対策を定着させる
  • BCPのガイドライン・マニュアルを参考にする
  • 感染症対策を追加する

BCP対策を策定したいが、活用できないとお悩みなら、ぜひ以下で紹介する取り組みを参考にしてみてください。

継続的にブラッシュアップする

BCP対策は、PDCAサイクルを回して継続的にブラッシュアップしてください。なぜなら、時間の経過とともに新しいアイデアや対策が見つかる場合があるからです。

策定した対策とは別に、他社でよりよい対策が実施されているかもしれません。また、時間の経過とともに新しいBCP対策のサービスが登場しているケースもあるでしょう。自社で策定した対策が必ずしもトラブル解決の最適解になるとは限らないので、継続的に新しい対策やサービスが登場していないか確認することが重要です。

従業員にBCP対策を定着させる

BCP対策は社内全員で取り組むことが重要であるため、策定前に従業員へ周知することが重要です。

例えば、次のような方法でBCP対策を定着させることができます。

  • 社内報にBCP対策を掲載する
  • 定例会を実施する
  • 社内研修を実施する
  • 体験会に参加する

事業継続の取り組みとして、BCP対策の体験会や講座を提供している機関もあります。実際に演習を行いながらBCP対策の策定練習に参加できるため、企業として参加を検討してみてはいかがでしょうか。

BCPのガイドライン・マニュアルを参考にする

BCP対策の策定方法にお悩みなら、内閣府が公開しているガイドラインや、各業界が配布しているBCP対策のマニュアルを参考にするのがおすすめです。

BCP対策の基礎を学べることはもちろん、過去に実施されたBCP対策の事例をチェックできます。

内閣府にて、BCP対策の網羅性を確認するチェックリストも掲載されているので、自社で策定したBCP対策に抜けや漏れがないか確認してみてはいかがでしょうか。

感染症対策を追加する

新型コロナウイルスのまん延を機に、世界中で感染症対策が重要視されています。感染症により従業員が動けなくなり事業が停止してしまうケースも予測されるため、BCP対策に感染症対策の項目を追加するのが望ましいでしょう。

BCP対策の国内実施事例

BCP対策を実施する参考として、国内事例を2つ紹介します。2024年から義務化されている福祉施設・介護施設の場合、そしてその他企業で実施されているBCP対策をまとめているので、自社とマッチする事例をチェックしてみてください。

福祉施設・介護施設の場合

特別養護老人ホームを運営するある施設では、BCP対策として、水道ライフラインの確保を実施しました。

災害時に断水しても施設で水が使えるように井戸を掘り、井戸水と上水道の2元給水を実現しています。またBCP対策の計画書に井戸水を地域住民に無償提供すると明記されており、地域貢献活動として地域の方たちから支持されています。

その他企業の場合

情報通信サービスを提供するある会社では、BCP対策として、社内で所有するデータの消失を防止するために、本社と支店でデータを相互バックアップできる仕組みづくりを実施しました。

遠隔地にバックアップを取ることによって、災害等の被害を受けた際の事業復旧のスピードを効率化するのが狙いです。また、BCP策定を機に、バックアップシステム構築業務を受注しやすくなるなど、企業としての売上増大につながっています。

まとめ

BCP対策は、頻発する自然災害、大規模火災、テロを受けても早急に事業を復旧するための重要な仕組みづくりです。中でも社内で管理しているデータが一度消失してしまうと、二度と復旧できない恐れがあります。

社内で管理している業務データや顧客情報を安全に管理したいのなら、災害やサーバー攻撃による被害を最小限に抑えるために、クラウドバックアップサービスを活用しバックアップ・マルウェア対策を万全に行うことが企業として重要です。

クラウドバックアップサービスを活用すれば、社内データをまるごとバックアップできることはもちろん、バックアップを自動化できます。重要なデータを安全な遠隔地に保管できるため、もしものトラブルへの備えとしてバックアップサービスを検討していただけると幸いです。

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