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  • 2024.03.01
  • 2024.03.01
  • 画像AIソリューション

AIによる異常検知とは?導入メリットや活用事例を紹介

画像AIソリューション

異常検知システムは製造業などで活躍する技術ですが、AIの登場により今や多くの業界で採用されています。

AIによる異常検知のポテンシャルはどのようなものなのか、そして実際の活用事例はどうかについて、この記事では紹介します。

※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです

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AIによる異常検知とは

そもそも異常検知とは、取得するデータから通常とは異なる異常値や外れ値を検出し、ユーザーへ通知を送信するという技術です。

これまでは異常の確認を人間が目視などによって行ってきましたが、近年ではAI技術の向上により、異常検知を高い精度で自動化できるようになっています。

AIによる異常検知は有人のそれよりも多くのメリットを有しているから、多様な業界で採用されるケースが増えています。

異常検知技術は製品の不良品の検出といった基本的な活用方法はもちろん、生産ラインの管理といった高度なマネジメントを実行するうえでも役立てられています。また、防災の側面からも注目を集めるなど、ポテンシャルの高さが魅力です。

AI異常検知の仕組み

AIを用いた異常検知においては、目的に応じて多様なアプローチが採用されています。ここでは代表的なAI異常検知の仕組みについて、解説します。

異常部位検出

異常部位検出とは、通常とは異なる動きなどを検出するためのアプローチです。

通常よりも高速でベルトコンベアが動作している、通常よりも高い心拍数を計測しているなど、実際にインシデントが発生しているわけではなくとも、その予兆についてはある程度データで示されることは少なくありません。

このようなインシデントの予兆を、異常部位検出で検知することができます。トラブルを未然に防ぐための検知システムを構築したい場合、役に立つ技術です。

変化点検出

変化点検出は、時系列に基づくデータのパターンが変化した際に、そのことを検出できる異常検知技術です。

例えば施設管理において、あるタイミングで急激に来館者数が増加した際に、そのことを検知したりウェブサイトへのアクセス数が急増した場合、そのことを変化点検出において把握することができます。

時間に伴う動向の変化を正確に捉えたい場合、役に立つ技術といえるでしょう。

外れ値検出

外れ値検出とは、記録されるデータが通常とは大きく異なる場合、つまり外れ値が入力された際に、それを異常として検出することのできる技術です。

例えば日報への記帳が通常のフォーマットに則って行われていない場合、正しく入力されているかをユーザーに確認を促すような通知を外れ値検出によって実行できます。

そのデータが外れ値かどうかは日々のデータ入力の積み重ねによるところもあるため、中長期的にデータ入力を実行することで、より正確な外れ値の検出ができるようになります。

AI異常検知に用いられるデータ分析手法

AIを使った異常検知を実行する場合、以下のようなデータ分析手法を使ってデータの解釈を実行しています。

ホテリング理論

ホテリング理論は、与えられたデータの値を分析し、それが異常値であるかどうかを統計的に判別する分析手法です。

ホテリング理論が役に立つのは、通常値が圧倒的多数を占めるデータ入力の際です。過去のデータに基づき、最新のデータが外れ値稼働かを判断するので、通常値と外れ値が頻繁に混ざるようなケースではその精度が失われてしまいやすい点に注意が必要です。

k近傍法

k近傍法は、時系列データを扱う際に用いられる分析手法で、データの距離を測定し、その距離感に基づいて異常かどうかを判断します。

どの距離になったらデータが異常かどうかを判別する手法のk近傍法を扱ううえでは、データの切り取り方によって異常かどうかの判断基準が変動する可能性があることに注意が必要です。

データの切り取り方に応じた異常値の設定を適宜行うことで、正確な時系列データの分析が可能になります。

AI異常検知の活用メリット

AI異常検知の活用は、導入企業に多様なメリットをもたらしてくれます。

コスト削減につながる

まず、AI異常検知は有人による判断と比較して、はるかに高いコストパフォーマンスを発揮できる手法です。

これまで異常検知を行うためには、監視モニターの前や現場に担当者を配置し、直接判別させる必要がありました。しかしAIであれば24時間365日、自動で異常検出を行えるため、担当者を配置する必要がありません。

手動で異常検知を実行する場合は、その分人件費が発生しますが、AI異常検知は設備投資さえ賄うことができれば、あとは人件費をほぼかけることなく業務を遂行できるので、導入規模が大きいほど強力なコスト削減効果が見込めます。

業務品質向上に貢献する

異常検知のようなルーティンワークは、人間よりもAIに任せた方がはるかに質の高い業務成果が期待できます。近年の異常検知技術は人間のそれをはるかに超えるレベルに到達しており、人間では見落としてしまうようなポイントもAIなら確実に捉えて異常を検知可能です。

また、人間は業務時間が長くなるにつれ、集中力の低下などによってパフォーマンスが低下してしまうこともありますが、AIは疲労の概念が存在しないため、常に一定の高いパフォーマンスを維持できます。

総じてAIの異常検知技術の方がクオリティは高く、製品やサービスの品質向上に直結するでしょう。

ヒューマンエラーを回避できる

AIに異常検知を任せた方が、ヒューマンエラーの心配もありません。AIは100%ミスをしないというわけではありませんが、人間と比べてはるかに高い期待値を維持することができます。

人間の場合は、重大な見逃しなどによって大きなインシデントに発展するリスクがある一方、AIの場合はそのような致命的な見落としのリスクが小さく、安心して業務を任せられるでしょう。

AI異常検知活用の課題

AIによる異常検知は多くのメリットを有している反面、実装にあたっては注意しておくべき課題もあります。

設備投資が必要

上でも少し触れましたが、AI異常検知を導入する場合、まず懸念すべきが設備投資のための予算確保です。

どのようなAIソリューションを導入するかにもよりますが、多かれ少なかれAI関連の設備を拡充するには設備投資が必要になります。

資本力のある企業であれば大規模なAI導入も問題なく行えますが、そうでない場合は段階的なAI導入に限定され、成果が出るまでに時間がかかることもあります。

そもそも予算の問題からAIの導入が見送られる可能性も高いため、運用方法や導入効果についての、深い理解が求められます。

人材育成コストがかかる

AIは便利なツールであることは間違いありませんが、AIをうまく使うためにはそのための人材育成も必要です。特に、これまでIT活用に消極的だった企業にとっては、AI人材の確保に時間やコストをかけることになるでしょう。

以前よりもAIは身近な技術になったとはいえ、AIを使いこなすためには相応のハイテクスキルが求められます。既存人材の育成はもちろん、外部から専門家を招くような施策も検討する必要があるでしょう。

業務プロセスの刷新が必要

異常検知をAIに任せることになった場合、業務プロセスを刷新する必要がある点も理解しておかなければなりません。

例えばこれまで有人監視を行っていた場合、AIを導入することで、その業務が丸ごとなくなることになるため、それによって生まれた余剰人材の配置をあらかじめ検討しておくようなケースです。

AIの導入はインパクトの大きな取り組みである分、既存の従業員も従来の働き方からアップデートが必要になることがほとんどです。AIを導入する際には、その計画もあらかじめ丁寧に立てておき、円滑なDXを実現できるよう備えておきましょう。

AI異常検知導入の主な事例

AI異常検知は、すでに多くの企業で導入が進んでいる技術です。ここでは代表的なシステム導入事例について、解説します。

大手電力会社の事例

ある電力会社においては、設備異常の検知AIをより大規模に導入し、業務の品質向上と効率化を促しています。

従来の有人とAIの併用による監視体制から脱却することで、異常検知漏れのリスクを最小化し、従来では検知できなかった部分の異常についても把握できるようになりました。

異常検知の認識範囲が広がり、より安全な工場運営につながったケースです。

大手セキュリティ会社の事例

とあるセキュリティ会社では、警備業務においてAI異常検知を部分的に導入し、業務の品質向上と効率化を実現しています。

AI異常検知は同社において多数導入されていますが、中でも特徴的なのがドローンを使ったAI異常検知システムです。ドローンを敷地内で飛行させ、取り付けているカメラにAIを実装することで、敷地内の異常を迅速かつ正確に特定することができます。

人間の警備では得られない情報を空中から取得できるこのシステムは、高度なセキュリティを安価に実現できるとして、注目を集めています。

大手鉄道会社の事例

国内の鉄道会社において、AIや3Dの画像解析を使った踏切内の異常検知システム構築が進みつつあります。

踏切内における事故は度々発生するばかりでなく、交通網への影響が大きいため、迅速な課題解決が必要です。同社では高度な検知システムをAIによって確立し、早期の異常検知によって事故の回避に努めています。

踏切の監視は有人では限界がある業務のため、今後の更なる普及にも期待が持てます。

まとめ

この記事では、AIを使った異常検知技術の活用メリットや、実際の活用事例などについて紹介しました。

AI異常検知は従来業務を大幅にアップデートしてくれる可能性を秘めており、将来性にも期待が持てる技術です。

実際の導入事例も参考にしながら、自社の課題と照らし合わせて効果的な導入を検討してみましょう。

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