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  • 2024.03.01
  • 2024.03.01
  • 画像AIソリューション

外観検査とは?手続きの重要性や課題、AI導入のメリットを紹介

画像AIソリューション

商品の品質維持や向上に欠かせないのが外観検査です。外観検査はどのような手続きで、どんなところに難しさを抱えているのでしょうか。この記事では、外観検査の概要や重要性、そして外観検査にAIを導入するメリットなどについて紹介します。

※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです

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外観検査とは

外観検査とは、自社で生産している部品や製品の品質が正しく保たれているかを外観からチェックする検査プロセスのことを指します。

生産した製品に欠損や汚損がある、本来あるべき部品が足りていないなどのエラーは、どのような生産ラインにおいても見られる問題ですが、これらのエラーが含まれた不良品を工場内で排除し、市場に流通することを回避しなければなりません。

基本的に外観検査は、人間が「目」を使って対応することから「目視検査」と呼ばれることもあります。人間が感覚をフル活用して業務にあたる必要があることから、日常的に発生する業務とはいえ相応のスキルが求められる業務です。

なぜ外観検査が必要なのか

外観検査は、ものづくりを行う企業であれば必ずといっていいほど取り組む必要のある工程であるといえます。

外観検査を義務的に高いレベルで行わなければならない理由には、以下2点が挙げられます。

  • 品質の維持がブランド維持に直結するため
  • 不良品の流通を未然に防ぐため

製品の品質を保つため

まず、外観検査は製品品質を一定の水準でキープするうえで欠かせない取り組みです。製品の製造はあらかじめ決められた工程で、場合によってはロボットを使って画一的に行われるケースが一般的ですが、それでも一つ一つの製品のクオリティにはギャップが生まれることも珍しくありません。

多少の品質の誤差であれば商品として市場へ提供することはできますが、一定の誤差を超えたものや、水準を満たしていない製品については市場に提供することはできません。これを事前に把握する工程が、外観検査です。

外観検査によってこのような水準から外れた製造品を検出し、排除することは、企業のブランドを守るうえでも重要になります。というのも、製品の品質が安定しないメーカーは市場に信頼されることが難しく、顧客離れを招いてしまう可能性があるためです。

市場が求めるレベルの製品を正しく生産し提供するうえでは、生産ラインの品質向上はもちろんですが、外観検査によるチェック工程を正しく機能させることで、水準に満たないものを排除することも必要になります。

不良品の発生やそれに起因するインシデントを予防するため

製造した製品が不良品であった場合、市場に出回ってしまうと企業のブランド価値を損なってしまうだけでなく、それが原因で重大なインシデントを引き起こしてしまう可能性もあります。

例えば自動車のパーツを作っている場合、水準に満たないものが組み立て工場を経て自動車に搭載されてしまうと、交通事故の要因となってしまうかもしれません。あるいは腐敗により変色した食品を誤って販売してしまい、食中毒事故を引き起こしてしまう可能性もあります。

このような事態を未然に回避するため、外観検査は非常に重要です。変色や破損など、外観でわかるほどの明らかな異常は何らかのインシデントに直結する可能性も高い以上、適切な判断基準に基づきチェックを行わなければなりません。

外観検査における検査項目

外観検査における検査項目としては、主に以下が挙げられます。

  • 寸法
  • 構造
  • 仕上がり

いずれも見た目でわかる要素である以上、商品として流通させるうえではこれらの項目が一定の水準を満たしていることが欠かせません。

形は最もわかりやすい外観検査項目です。形状の歪みや破損については、商品が本来の性能を発揮できない可能性や商品価値を損なうケースもあるため、必ず基準を満たしておく必要があります。

寸法

商品のサイズが基準を満たしているかどうかも、重要な判断ポイントといえます。通常よりサイズが小さすぎるのはもちろん、大きすぎる場合でも問題を引き起こす可能性があるため、規定の寸法に収まっていなければいけません。

色は外観検査において重要性の高い判断項目です。変色は製品の錆や腐食によって発生している可能性があり、これらは商品として決して市場に流通させてはいけません。

場合によっては微妙な色の濃淡の違いを把握しなければならない場合もあり、外観検査担当者の力量が問われます。

構造

正しい構造で製品が組み上げられているかどうかも、外観検査のチェック対象となります。部品が不足している、ギアが空転しているなどの異常が見られた場合、市場への流通はできません。

仕上がり

外観検査においては、その他仕上げについて正しく行われているかどうかをディテールまで細かく判断します。

正しい加工がされているか、未塗装のまま市場に流通していないか、プリントは正しく行われているかなどがチェック対象です。

外観検査の種類

外観検査には以下3つの種類が存在します。

  • インライン検査
  • オフライン検査
  • 抜き取り検査

それぞれの検査においてどのような違いがあるのか、確認しておきましょう。

インライン検査

インライン検査は、生産ライン上に検査を実施するための装置などを搭載して、正しく生産が行われているかを調べるための工程です。生産工程の途中で不良判定を下すことができるので、後の工程をスキップして不良品を排除し、原材料費の損失を未然に回避することができます。

オフライン検査

オフライン検査は、生産ライン外で検査を行う取り組みを指します。インラインで行えない検査項目をチェックするための検査手順で、人間が手動で行わなければならない繊細な業務がこの工程で実施されます。

質の高い外観検査を実現するうえで、手を抜くことのできない工程です。

抜き取り検査

抜き取り検査は、完成した製品から無差別に抜取り調査を行い、仕上がりなどに問題がないかをチェックする手法です。

すべての製品を一つずつチェックするわけではありませんが、サンプルの状態を細かく検査することで、生産ラインに問題がないか、問題が確認された場合はどのような工程に課題があるのかを特定することに役立ちます。

外観検査の課題

外観検査は製品の品質維持、ひいては企業のブランドを維持するうえで極めて重要な工程ですが、外観検査の実施にあたっては対処すべき問題もあります。ここでは外観検査実施にあたっての問題点をいくつか紹介します。

判断基準を統一しづらい

外観検査の一番の問題といえるのが、判断基準の画一化です。外観が基準を満たしているかどうかというのは、よほど大きな破損や汚損がない限りは検査担当者の主観に依拠する部分も大きく、業務が属人化してしまいます。

製造される製品が全くの完璧な状態であることを絶対条件としてしまうと、多くの不良品が発生してしまうこととなり、企業の収益性を損なってしまいます。かといってあまりに多少の不完全を認めてしまうと、今度は商品のブランドを損なってしまう可能性があり、商品価値を維持することが難しくなってしまうわけです。

そのため、判断基準は「おおむねこれくらい」というレベルで共有せざるを得ず、具体化されていない判断基準については個人の主観に頼ってしまうこととなり、やはり検査の品質に多少のブレが出てしまうことは否めません。

技術の継承が難しい

このような外観検査が検査担当者の主観に依拠しやすい問題は、技術の継承にも悪影響を及ぼす可能性があります。

上述したとおり、外観検査はその繊細さゆえに明文化が難しく、業務が属人化してしまう問題を抱えています。結果、外観検査のノウハウが個人の主観に基づいて継承され、組織全体としての判断基準にブレが生まれてしまい、検査品質の維持が難しくなる可能性が出てくるわけです。

外観検査にAIを導入するメリット

外観検査に関する課題をまとめて解決するための手段として、AIの活用という選択肢が近年注目を集めています。外観検査にAI搭載型のカメラを実装することで、検査業務を丸ごとAIに任せてしまい、AIの判断に委ねてしまうという取り組みです。

外観検査をAIに任せて自動化することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 検査の品質を維持できる
  • 検査負担を小さくできる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

検査品質を維持しやすい

外観検査をAIに任せることで、検査品質の維持をしやすいというメリットがあります。

AIを使った外観検査では、過去の検品データに基づき不良判定を下すというもので、どのようなものが不良とされるのかをAIが膨大な画像データを根拠に学習してくれます。

結果、何百万、あるいは何千万件の過去データに基づいた外観検査をAIが行ってくれるため、人間よりもはるかに優れる精度で検査結果をもたらしてくれるというわけです。

人間は少数のデータから正しい検査を行えるような判断基準を養うことができますが、それでも24時間365日、常に同じパフォーマンスを維持することは難しいです。一方で、AIは休みなしに働ける存在でありながら、一定のパフォーマンスを維持することができます。

有人の外観検査は属人化しやすい業務であるため、担当者のコンディションも検査結果に影響を及ぼしやすいものですが、AIであればそのような不確定要素も最小限に抑えられるため、やはり検査品質を維持しやすいといえるでしょう。

検査に伴う負担を小さくできる

外観検査をAIに任せることで、検査に伴う負担を小さくできるのも強みです。AIは100%完全な外観検査ができるとは限らず、時には誤った判断を下すこともあります。

ただ、それでもエラー率は人間のそれよりも小さく抑えることができ、人間はAIのエラーに対処するだけで外観検査業務を完結できるため、従来の外観検査業務に比べるとはるかに負担は小さいといえます。

また、外観検査に必要だった負担が従来よりも小さく抑えられるようになったことで、その空いた時間やリソースを別の業務に割り当てることもできます。外観検査要員が不足している場合はAIで充当することができますし、他の部門で人材不足が生じている場合、外観検査をAIに任せることで、余剰人材を不足している部門に配置することもできるでしょう。

まとめ

この記事では、外観検査業務とはどのようなものなのかについて、その種類や業務内容について解説しました。外観検査が果たす役割は大きく、会社のブランドにも大きく関わる重要な工程ですが、同時に人間が対応するうえでは課題も残ります。

そこで活用したいのが外観検査に活躍する画像認識AIソリューションの存在で、外観検査時に発生する業務負担を解消するとともに、業務品質の向上も期待できます。

労働人口の不足が深刻化している以上、外観検査をデジタルに移行し効率化することは不可欠になりつつあります。まずはAIソリューションの活用がどのようなメリットを自社にもたらしてくれるのかを考えながら、自社での導入を検討するとよいでしょう。

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