画像AIソリューション
AIを画像処理の分野で有効活用することで、これまでは人力でなければできなかった業務の大半を、機械に置き換えることが可能です。この記事では、AIを使った画像処理でどのような業務を自動化できるのかについて紹介します。画像処理の種類や具体的な使い方に関心がある方は、参考にしてみてください。
※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです
目次
画像AIソリューション
お客さまの業態に合わせた形でAIによる画像認識、画像チェックを導入し
優れた解析システムで、作業者の負担軽減/業務効率化を実現!
そもそもAIとはArtificial Intelligenceの略称で、日本語では「人工知能」の名前で知られている技術です。従来のプログラムとは異なり、自律的に思考し与えられたタスクに沿ってゼロから答えを出力できるこの技術は、人間がこれまで担当してきた複雑なデスクワークも代替できるとして大きな期待が寄せられています。
AIは人間のような自律的な思考プロセスを持っていることが最大の特徴ですが、これは端的にいえば過去のデータをプログラムに学習させ、規則性やデータの特徴を把握してもらうことで、同じような課題が与えられた際に似たような答えを出力できる能力のことです。
この学習プロセスは、人間のそれにも極めて酷似しているといえます。人間も過去の経験をもとに物事を学ぶわけですが、それをコンピューターに再現させているのがAIというわけです。
こうした学習プロセスの再現は何十年も前から取り組まれてきましたが、近年のコンピューターの処理能力の飛躍的な向上によって、この10年ほどでようやく実用的なレベルに達した比較的新しい技術でもあります。
AIの学習プロセスには大きく分けて以下の2種類が存在します。
教師あり学習は、現在に至るまでのAI研究におけるスタンダードとされてきた、比較的歴史のある学習プロセスです。学習用データに対して正解・不正解のタグ付けを行ったり、そのデータの説明をタグによって行ったりすることで、AIに効率的な学習を促します。
例えばみかんの画像に「みかん」とタグ付けを行うことで、AIはその画像に写っている物体が「みかん」であることをスムーズに理解できる、という仕組みです。
ただ、教師あり学習はあくまで人間の判断基準に基づく学習しかAIに促すことができず、構築できるAIの能力も頭打ちになりやすいのが問題視されてきました。このような問題を解決するべく登場したのが、教師なし学習と呼ばれる手法です。
教師なし学習は、その名のとおり教師データが与えられていないデータをAIに学習させることで、AIに自力で特徴を把握してもらい、高度な判断能力を身につけさせるプロセスです。
教師あり学習とは異なり、成果をもたらすためには膨大なデータをAIに学習させる必要がある一方、人間では判別不可能なレベルのデータの差分を把握し、新しいアプローチで答えにたどり着けるような判断能力を身につけられるとして、次世代のAI開発のスタンダードとなっています。
教師なし学習を実行するにはAI側にも相応のスペックやアルゴリズムが求められるわけですが、そこで活躍するのがディープラーニングの技術です。人間の神経細胞を模した学習プロセスを実装することで、驚異的な学習能力を実現することに成功しました。
AIを使った画像処理は、大きく以下の3つに分類できます。
それぞれどのような効果を発揮するのか、順に見ていきましょう。
画像認識は、AIによって画像の中に含まれている情報を正しく把握する技術を指します。画像の中にどんな物体が含まれているか、人間は何人いるか、特定の顔の人間が写真の中に写っているかなどを把握できます。
製造や工事の現場からマーケティングに至るまで、あらゆる業界で活躍の機会が存在する技術の一つといえるでしょう。
あるいは店舗カメラに物体認識機能が実装されることで、日々の来店者の数を自動で記録し、売上やマーケティング分析に役立てられる情報収集が可能になるでしょう。
物体検出は、カメラ映像をリアルタイムで分析し、何らかの物体の有無を判別する技術です。代表的な活用例としては、自動運転車が前方に障害物や歩行者がいないかどうかを把握するようなシーンが挙げられます。
画像生成は、蓄積された学習データに基づいてAIが自ら画像を生成する技術を指します。イラスト風のものから写真のようなものまで、画像データとしての蓄積があればどのような画像でも生成できるため、今後あらゆる業界でこの生成技術が猛威を振るうことが予想されています。
AIを搭載した画像処理技術を活用することで、さまざまな領域で多様な画像関連のタスクを自動化できるようになります。
代表的な業務としては、以下のものが挙げられます。
それぞれどのようなタスクであるかについて、順に解説します。
AIを使った画像処理の代表的な活躍シーンとしては、店頭に陳列している商品や、生産ライン上の製品の異常検知です。AIを搭載したカメラで商品や製品を捉えることで、外観の異常を瞬時に把握できます。
例えばパッケージが潰れてしまっている、製品の本体が歪んでいるといった外観の異常は、AI画像処理機能があれば簡単に実装ができる技術です。これらの品質管理に関する業務は長年人間の仕事とされていましたが、高度な画像処理技術を有したAIカメラがあれば、簡単に自動化することができます。
顔認識機能は、人間の顔をそれぞれ細かく区別して分類したり異常を判別したりする機能ですが、これもAI搭載の画像処理技術が進化したことで高い精度を発揮できるようになりました。
人間の顔のパターンは無数に存在するため、これまでの技術ではコンピューターにそれぞれを細かく判別することは不可能とされていた技術です。しかしディープラーニングによるAI実装型の画像認識が普及したことで、高度な顔認識を自動で利用できるようになっています。
代表的なのは、iPhoneに実装されているFace IDです。これはiPhoneにあらかじめユーザーの顔情報を登録することで、パスワードを入力しなくともロックを解除できる機能ですが、高い解像度のカメラと優れたAI画像処理技術によって、簡単かつ強力なセキュリティ機能として活躍しています。
AI画像処理は、画像データを正しく読み込む以外にも使用できる技術です。代表的なのはイラストの生成で、これは与えられた自然言語の指示に基づき、そのとおりのイラストを出力してくれるというものです。
これまでイラストの描画は人間の仕事とされてきた領域で、コンピューターによる自動生成ではでたらめなものしか生成ができないと考えられてきました。しかし近年のAIの進化により、極めて質の高い、プロレベルのイラストレーションが行えるようになっていることは徐々に知られつつあります。
今では極端なディテールが求められない、アニメの背景画像や適当なサムネイル画像の生成などであれば、AIに十分に任せられるようなレベルに達していることは知っておくべきでしょう。
上記のように、AI画像処理の技術はここ数年で飛躍的な進歩を遂げており、徐々に実用的なAIサービスも普及しつつあります。
ただ、AI画像処理の運用に当たってはクリアすべき懸念事項もいくつか存在するため、手放しにそれらの登場を喜ぶことができないのも事実です。ここでは、AI画像処理運用における主な注意点について紹介します。
AI画像処理技術において注目されているのが、著作権の問題です。現状、多くの画像処理関連のAIサービスは、インターネットから不特定多数の画像をインプットしてサービスを提供しているケースが大半を占めており、それらの画像データの中には著作権で保護されたコンテンツも含まれています。
そのため、AIが生成する画像はAIユーザーの意図しないところで実在するイラストレーターの作風やコンテンツをそのまま剽窃している可能性があり、丸ごと使用してしまうと著作権法違反に抵触してしまう可能性があるのです。
そのため、AIが生成する画像を使用する際にはこのような著作権の問題を回避できる、抽象的なテーマの画像生成にのみ利用を限定するか、徹底したリーガルチェックを行ったうえで画像生成を行う必要があります。
このような法律上の問題を回避しながらAIを運用しようとすると、当初想定していたほどの高い生産性を得られない可能性があるため、注意が必要です。
AI画像処理関連のサービスを利用するには、当然ですが設備投資が発生します。AI画像処理サービスの利用料金や、AI対応のカメラの導入など、ソフト・ハード面の両方でコストが強いられることに注意しましょう。
ただ、このようなAI活用を含めた設備投資全般は、国内企業の場合IT導入補助金などの支援制度を利用することもできます。自社ですべてのコストを賄うことが難しい場合も、このような補助金制度を有効活用すれば、費用負担を半分、あるいは3分の1程度に抑えることも可能です。
コスト面についての不安は大きく残るところではありますが、まずは自社でも使える補助金制度を活用し、経済的な負担を小さく抑える工夫に力を入れてみましょう。
画像処理関連に限った話ではありませんが、AIを業務に導入する場合、AIありきの業務プロセスへの刷新が必要となるため、業務の抜本的な改革が求められるケースも少なくありません。
特にこれまでアナログ業務や属人化した業務がビジネスの大半を占めていた場合、AIの導入は大きな変化を強いられることになるでしょう。
このような状況下でAI画像処理技術の導入を円滑に進めるためには、AIサービスの導入だけでなく、どのように現場で仕組み化していくかという点にも注意を払う必要があるでしょう。
この記事では、AI画像処理とはどのような技術なのか、何ができるかなどについて解説しました。AIを使った画像処理の技術は年々進化しており、今では人間以上のパフォーマンスを発揮できるケースも増えてきました。
AI画像処理技術を導入することは、あらゆる現場において業務の効率化や人材不足の削減といったメリットをもたらしてくれる反面、設備投資や著作権の問題に対処しなければならないことから、運用に当たっては相応のノウハウが求められます。
とはいえ、導入に伴うメリットは半永久的に持続することが期待でき、中長期的に多大な成果をもたらしてくれます。画像認識関連のAIソリューションは汎用性に優れたものも多く、まずはこれらのサービスについての理解を深めるところから始めるとよいでしょう。
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※ZENMU Virtual Drive Enterprise Editionは、株式会社ZenmuTechの製品です。
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