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  • 2024.03.01
  • 2024.03.01
  • 画像AIソリューション

画像検査を導入するメリットとは?導入事例も紹介!

画像AIソリューション

「画像検査を導入するイメージがなかなか湧かない」
画像検査という言葉をよく耳にするも、どのような場面で役に立つのか分からない方もいらっしゃると思います。

この記事では、画像検査の概要、利用するメリットやデメリット、導入事例などを紹介します。

※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです

画像AIソリューション

お客さまの業態に合わせた形でAIによる画像認識、画像チェックを導入し
優れた解析システムで、作業者の負担軽減/業務効率化を実現!

画像検査とは

画像検査は、人の目で品質判定を行う目視検査の代わりとして登場しました。画像検査では、目視検査における人の目の役割をカメラ、品質判断をソフトウェアが処理します。このカメラとソフトウェアが組み合わさったものを画像センサと呼び、品質の判定を行います。

画像検査では、完成品の外観を事前に登録したデータと比較し、キズや汚れ、変形などの欠陥がないか確認します。

具体的に見抜く欠陥は以下のとおりです。

  • ラベルの印刷ミス
  • 製品パッケージ内部に付着した異物
  • 製品の割れや変形
  • 金属製品内部の気泡

画像検査は、製造業やIT業界などさまざまな業界で活用されています。

画像検査装置の構成

画像検査装置は、以下の4つで構成されています。

  • 製品を照らす照明
  • 製品を捉えるレンズ
  • 製品を撮影するカメラ
  • 品質判定を行うソフトウェア

それぞれの概要は、以下のとおりです。

製品を照らす照明

検査物の形状によって照明の当て方が変わります。光の当て方と照明の形状には、さまざまな種類があります。

■光の当て方

方式 特徴
正反射
  • 被写体を斜め上から照射する
  • 表面で反射させる
  • 強い光を当てられる
拡散
  • 入射光がさまざまな方向に反射される
  • 拡散するため光が弱くなる
  • 全体に均一な光を当てられる
透過
  • 検査物の裏側から照射する

■照明の形状

形状 特徴 用途
ドーム型
  • いろいろな方向から間接光を当てる
  • 検査物全体を均一な拡散光で反射させる
表面検査
リング型
  • LEDをリング状に配置
  • コントラストのはっきりした画像が撮れる
基盤やラベルの検査
バー型
  • 直線状にLEDを配置
  • 長い形状の撮像物を均一に照射できる
異物検査やシート検査
同軸落射型
  • 検査面を均一に照らす
ラベル検査や文字検査

製品を捉えるレンズ

レンズによって対象物の映し方が変わるので、必然的に判定の精度に影響を与えます。画像検査で一般的に利用されるレンズは以下の2つです。

レンズ 特徴 メリット デメリット
CCTVレンズ
  • 画角は通常45°から60°程度
  • 広範囲を一度に撮影できる
導入コストが低い 画像の端に歪みが生じる
テレセントリックレンズ
  • 視野角が変わらない
歪みが少ない レンズが大型で高価

CCTVレンズは、広範囲に撮影できる標準的なレンズです。防犯や監視カメラなどの映像撮影にも利用されています。低価格の反面、画像の端に歪みが生じることがあります。
立体的な形状や高低差がある被写体の検査には、適していないため注意してください。表面の形状の検査や導入コストを抑えたい場合におすすめです。

テレセントリックレンズは、計測に特化したレンズです。歪みが少ないため高低差のある被写体の検査でも、視野角が変動しません。精密な測定に適している反面、レンズが大型のため設置後に位置調整を行うのは難しいでしょう。複雑な形状の被写体でも歪みや死角が生じないため、精密な検査を行う場合におすすめです。

製品を撮影するカメラ

検出したいキズや異物の程度に応じて選ぶカメラが変わります。カメラは以下の2種類があります。

カメラ 特徴 メリット デメリット
エリアセンサカメラ シャッターを一度切るだけで撮影ができる 安価 大きな検査体だと撮りづらい
ラインセンサカメラ 展開図のような画像を取り込める 大きな検査体の撮影に最適 高価

エリアセンサカメラは振動があってもブレない画像を撮影できる一般的なカメラです。設定や設置が簡単なため、手軽に導入できます。

ラインセンサカメラはコピー機やスキャナーのように、画像を撮る際にカメラまたは検査体が一定方向に動きます。エリアセンサカメラに比べ、大きな検査体の撮影に最適です。

品質判定を行うソフトウェア

カメラで捉えた画像はソフトウェアによって解析・検査が行われます。事前にAIモデルとして、正常な製品、異常な製品を画像登録することで高精度な解析・検査が可能です。また、検査の結果はレポーティング機能によって分析・学習が行われ、異常検知の判定精度を向上させます。

画像検査導入のメリット

画像検査導入のメリットは、以下のとおりです。

  • 検査の効率が向上する
  • 検査の精度が向上する
  • 人的コストが削減する

検査の効率が向上する

画像検査は検査を自動で行うため、目視検査に比べ検査時間が短くなり、検査の効率が向上します。

目視検査では、肉眼で検査を行うため微細なキズや汚れを認識することが難しく、顕微鏡を使うなどして細部の確認に時間をかけて行う必要があります。画像検査では、細かなキズも瞬時に検出できます。

また、画像検査は、以下の点からも検査効率が向上するといえます。

  • 検査を24時間体制で行える
  • 少ない人員で実施できる

検査の精度が向上する

画像検査では、あらかじめ設定した基準に基づいて品質を自動で判定し、検査の精度を向上させます。

目視検査では、作業者の経験によって検査結果にばらつきが生じます。また、数量の多い製品を検査する際は、肉体的・精神的な疲労がミスの原因にもなります。

一方画像検査では、機械が検査を行うため、作業者の疲労による検査結果のばらつきは発生しません。常に一定の検査基準で品質を判定し、検査の精度を向上させます。

人的コストが削減する

画像検査の導入により以下が改善されるため、人的コスト削減につながると考えられます。

  • 検査作業員の数を減らせる
  • 検査作業員の採用や教育を省ける
  • 検査作業員の負荷を減らせる

画像検査の導入検討をされている場合、少しでもコスト削減のメリットを受けるためにも、なるべく早めに導入することをおすすめします。

画像検査導入のデメリット

画像検査導入のデメリットは、以下のとおりです。

  • 初期費用がかかる
  • 特定業務用の装置は汎用性が低い
  • 判断基準の継続的な学習が必要

初期費用がかかる

画像検査は目視検査に比べて、初期費用が必要です。

具体的な初期費用とは以下のとおりです。

  • カメラや照明、レンズの機器
  • システムの設置費
  • システムの開発費

このほかにも、学習データの作成費、画像検査のライセンス費などがかかる場合もあり、初期費用は目視検査に比べて高額といえます。

特定業務用の装置は汎用性が低い

特定業務用の検査装置は、業務に特化した機能のため汎用性が低いです。

用途に応じて画素数を選択できるなど、1つの業務以外にも利用できるようなシステムを提供している企業も増えているものの、いまだに汎用性は低いといえます。

判断基準の継続的な学習が必要

画像検査は、キズや異物を検知するために継続的に機械学習を行わなければなりません。蓄積された学習データに基づいて、コンピューターが機械学習を行い判断基準を発見していきます。

学習データにない判断基準は測定できないため、導入後すぐの運用はできず、継続的な学習が必要です。

画像検査機器を選ぶポイント

検査物により導入すべき画像検査機器が異なります。画像検査機器を選ぶポイントは以下のとおりです。

照明

  • 照明の当て方
    正反射や拡散、透過があります。検査物の特徴や曲面性、凹凸の程度に基づいて判断しましょう。
  • 照明形状
    リングやドーム、同軸落射照明などがあります。設置する環境を考慮して搬送に影響を与えない照明形状を選択しましょう。
  • 照明の色
    青や赤、白があります。背景の色を考慮して、欠陥部分が目立つ色を選択します。

レンズ

  • 確保できる視野の広さ
    検査物の大きさに合わせ、視野を確保できるレンズを選びましょう。
    大きな検査体を撮影するには、広い視野を確保できるレンズがおすすめです。
  • 被写界深度
    検査箇所にピントを合わせるには、被写界深度が重要です。被写界深度が浅いとピントが合う範囲が狭くなり、深いと広くなります。
  • 解像度
    高い解像度のレンズを使用することで、画像が明るく鮮明になります。また画像処理する際も欠陥部分の検出が簡単です。

カメラ

  • 画素数
    画素数は、画像の点の総数を指します。画素数が多いほど高精細な画像を撮影できます。小さなキズや異物を検査する際は、画素数が多いカメラがおすすめです。
  • カラーかモノクロか
    カラーは色の違いや変化を検知したい場合、モノクロはキズや変形などの欠陥を検知したい場合に適しています。基本的には、モノクロがおすすめです。

ソフトウェア

  • レポーティング機能
    レポーティング機能は、情報を必要な時に抽出し分析を行える機能です。検査精度を向上するための分析や改善を自社で行いたい場合はレポーティング機能の有無を確認しましょう。
  • モデル作成機能
    自社でAIモデルを生成する場合は、モデル生成に対応したものを選びましょう。誰でも簡単にモデル生成が可能なソフトウェアを選ぶことで、モデル製作費を最小限に抑え、設計段階で繰り返しシミュレーションを行うことが可能です。

画像検査の導入事例

ここでは業種ごとの画像検査導入事例をご紹介します。

プラスチック製品製造会社

あるプラスチック製品製造会社では、樹脂成形工程で検査員が目視で検査を行っていました。しかし、検査員ごとに検査基準が曖昧で結果にばらつきがあったほか、肉体的負荷がかかっており疲労の原因となっていました。

そこで画像検査を導入し、検査を自動化することで以下の成果が得られました。

  • 検査基準の統一による検査精度の向上
  • 検査の自動化による検査員の負担軽減
  • 検査員の減員による人件費の削減

このように画像検査を導入することで、人的コストが軽減されて検査の効率が向上しました。

住宅メーカー

ある住宅メーカーでは、外壁の製造時に材料不良や焼き上がりの色ムラによる不良品が発生していました。一方で、目視検査では検査できる量に限界があり、不良品を排除すると出荷必要枚数が不足してしまう状況にありました。

そこで製造時の検査に画像検査を導入し、検査を自動化することで、以下の成果が得られました。

  • 検査量の増加による供給量の確保

このように画像検査の導入により、検査量の増加による供給量の確保につながりました。

まとめ

この記事のまとめは以下のとおりです。

  • 画像検査は、製品のキズや汚れ、変形などの欠陥がないか自動で確認する
  • 画像検査を導入するメリットは「検査の効率・精度が向上」
  • 画像検査を選ぶ際には「照明」「レンズ」「カメラ」「ソフトウェア」に注目する

画像検査はシステムの設置費や導入費など初期費用がかかりますが、長期的にはコストを削減できます。

「目視検査では検品作業がスムーズに進まない」「目視検査のマニュアルが統一できていない」とお悩みの方は画像検査を導入検討してみてはいかがでしょうか。

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