ASTERIA Warp
EDIは企業間の商取引をスムーズに行ううえで欠かせない存在ですが、仕組みや必要性がよくわからないという方も多いでしょう。本記事では、EDIの仕組みや種類、メリットなどについて解説します。
EDIについて知りたい方、導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事に掲載している情報は2024年3月時点のものです
目次
ASTERIA Warp
専門的な技術は不要、さまざまなシステムやサービスと連携して、
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EDIとは「Electronic Data Interchange」の略で、日本語で「電子データ交換」といいます。
専用回線やインターネットなどで企業間をつなぎ、書類などの送受信を電子的に行う仕組みのことで、郵送やFAX、メールなどと違い、人の手を介さずに自社と取引先企業のコンピューター間で直接データを送受信します。
EDIの誕生以前は、発注書や請求書などの契約書類を、郵送やFAX、メールなどでばらばらにやり取りしていたため、業務が非効率で人的ミスが発生しやすいという課題がありました。しかし、EDIで送受信することによって業務の効率化が可能となり、業務時間の短縮や人的ミスの減少、コスト削減などの課題解決が可能となりました。
EDIと似た言葉にEOSやBtoB-ECがあります。
EOSとはElectronic Ordering Systemの略で、ネットワーク上での電子受発注システムのことを指します。小売業や卸売業などで幅広く活用され、発注から納品までをコンピューターで管理することによりスピーディーで正確な発注が可能です。
インターネットを介して 受発注するためにEDIのシステムが必要であることから、EOSはEDIの仕組みの一部といえます。
一方、BtoB-ECは企業間の取引をインターネットおよびECサイトを通じて完結させることです。EDIのようにインターネット上で受発注するだけでなく、マーケティングや商品販売にも活用できるシステムであることから、EDIはBtoB-ECの派生と考えられます。
Web EDIとは、専用のEDIシステムをコンピューターにインストールするのではなく、インターネットを用いてブラウザ上でデータのやり取りをすることです。従来のEDIで用いられていたISDN回線が、2024年から順次廃止される影響を受け普及しました。
Web EDIのメリットは、専用システムのインストールが不要な点です。PCとインターネット回線があれば場所を選ばず利用できる手軽さがあり、導入コストを抑えることができます。
デメリットとして、標準化されていないため受注側と発注側の両方がWeb EDIを導入する必要があることや、自動化されていない部分があり一部に人の手が必要なことなどが挙げられます。
EDIでは、データの変換プログラムを用いて発注元と受注先のデータを同じ形式にする必要があります。
変換に用いる規格や通信方法により以下の3種類に分けられます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
通信方法やフォーマット、識別コードなどを自由に決められるEDIのことです。個別EDIのメリットは、取引先ごとに設定を細かくカスタマイズできる点です。
デメリットは、取引先が多い場合は変換プログラムを増やさなければならず、効率的ではないことが挙げられます。
また、通信方法や識別コードは発注者が決めるケースが多く、受注者が発注者に合わせるため、受注者側に時間やコストがかかります。
通信方法やフォーマット、識別コードなど、第三者機関が標準化した規格でやり取りをするEDIのことです。標準EDIのメリットは、同じ規格を用いている企業同士であれば、複数の企業とのやり取りが可能な点です。
取引先が多くても同じ変換プログラムで対応できるため、企業数が多い場合に導入すると効率的です。
デメリットは、取引先企業に合わせられる自由度が少ないことが挙げられます。
標準EDIのなかで、特定の業界に特化したEDIのことを業界VANといいます。主に小売業、卸売業、製造業、金融業などで用いられています。業界VANのメリットは、業界内で共通のコードや通信方法を利用するため、同じ業界の企業間での取引を円滑に進められる点です。
デメリットは、特定の業界以外の取引先と共有することが難しく、取引先が限られることが挙げられます。
中小企業でもEDIを導入するケースが増えています。中小企業がEDIの導入を必要とする主な理由は以下のとおりです。
それぞれを詳しく見てみましょう。
DX化に伴い、業務の自動化としてEDIを導入する企業が近年増加しています。また、取引先がEDIを利用している場合、やり取りにEDIの利用が必要なケースがあります。
中小企業にとっては商取引で遅れを取らないために、今後さらにEDIの導入の必要性が増すでしょう。
電子帳簿保存法という、税務関係書類のデータ保存を可能にする法律があります。この法律では、取引情報を含む電子データの保存義務や保存方法について定めています。2021年の法改正により、電子取引の情報は紙ではなく、電子データで保存しなければならなくなりました。
EDIでの取引は電子帳簿保存法における電子取引にあたります。中小企業では従来から紙媒体での保存が主流でした。しかし、今後データ取引が進んでいくにあたり、電子データで保存する必要があるため、EDIを導入する企業が増加したと考えられます。
EDIのメリットとデメリットを把握することにより、導入の注意点がわかり、スムーズなシステム移行が可能になります。
本章では、EDIの主なメリットとデメリットを解説します。
EDIを導入するメリットは以下のとおりです。
EDIは電子データでやり取りするため、従来のように郵送やFAXで送る必要がなく、印刷や郵送にかかるコストを削減できます。
また、ペーパーレス化によって書類を整理・ファイリングする手間が省けるうえに、保管場所の確保も不要です。データであれば後日確認する際に探すのも簡単であり、紙を数年間保管したのちに処分する手間もかかりません。
EDIは人の手を介さずにデータ交換を行うため、業務のスピードアップにつながります。発注者側の発注書の作成や印刷、郵送、受注者側の受注データの確認やデータ入力など、手作業を省くことにより社員の時間を節約できます。
基幹システムと連携すれば、会計データを自動で取り込んで帳票を作成できるため、業務の効率化にもつながるでしょう。
従来のメールやFAX、郵送は人が業務を行うため、人的ミスを完全に無くすことは困難でした。しかし、EDIならシステムが自動で電子データをやり取りするため、人的ミスを減らせます。
結果として、データの正確性が向上し、企業間の信頼性の向上にもつながります。
EDIでは、生産状況や在庫状況、販売予測までデータ上で管理できます。企業間で受発注状況の情報を共有できるため、スピーディーな取引の実現が可能です。
例えば、A社がB社に発注したものの、在庫がなかったためC社に発注し直す場合、人の手を介すと時間や手間がかかりますが、電子データであれば素早く行えます。
さらに、商取引の統計・分析がしやすくなることにより、取引先の需要を素早く予測でき、競争力の強化が期待できるでしょう。
EDI導入するデメリットとしては、以下が挙げられます。
EDIは、自社と取引先でデータ交換できるシステムをインストールしなければなりません。導入にあたってシステムを整備する必要があるため、初期コストがかかります。取引する企業の数によってはコストパフォーマンスが悪くなる場合があります。
EDIは、取引を行う企業間で同じEDIを導入する必要があります。取引先のEDIと互換性がないと導入しても取引は行えません。取引先のEDIシステムに合わせられなければ、導入は難しくなります。
取引先が少ない場合は、EDIを導入するより従来のFAXやメールの方が手軽で扱いやすいケースもあります。
EDIを導入するにあたり、注意すべき点は以下のとおりです。
EDIはコンピューターシステムを通してデータをやり取りするため、自社のシステムがEDIに連携しているかを確認しなければなりません。
そのうえで、標準EDIや個別EDIなど、自社のシステムに最適なものを選びましょう。
自社システムと同様に、取引先が利用するシステムとの連携も確認しましょう。
システム間のデータ交換に必要なコードやフォーマット、プロトコルなどを取引先のシステムと合わせる必要があります。そのため、導入前に相手先のシステムとEDIが連携可能かを確認しておくことが重要です。
EDIは日本語で「電子データ交換」といい、企業間で取引情報を電子データで交換することを指します。EDIを導入すると、従来の郵送やFAXで行っていた受発注などの取引情報を電子データで素早く交換でき、業務の効率化やスピードアップのほか、人的ミスを防いで情報の正確性や信頼性を高めることにつながります。
ただし、EDIを活用するには、取引する企業間で同じEDIを導入する必要があるため、取引先によっては運用が難しい場合もあります。
今後、業務のDX化はさらに進み、企業規模問わずEDIを活用することは重要な要素となるでしょう。導入にかかるコストや手間を考慮しながら、自社に合ったEDIの導入を検討しましょう。
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