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プロジェクトストーリー
Project 02セキュアで高速なデータ転送 研究開発プロジェクト
主任技師2005年4月1日 入社
2005年 4月 1日 入社
2014年 4月 1日 主任技師(課長相当職)

プロジェクトの経緯
海外では機密性の高いデータをセキュアかつ高速にデータ転送できないことが課題でした。
経済のグローバル化が進むなか、海外に拠点を構える企業が増えており、とくに製造業では、国内の企画・設計部門と、海外の製造拠点との間の設計データのやり取りや、言葉の壁の問題があるため、機械の取り扱いなどマニュアルを映像データとして送付するケースが増えてきています。
そこで課題となるのが、機密性の高いデータをスピーディーかつ低コストで、しかも誤送信や情報漏洩の心配のない方法で共有する方法が難しいということです。海外はインターネットの回線事情が不安定で、専用線は距離的に非常に高価なものになるため、低速回線でないとコストメリットが出せません。低速であれば、1日に共有できるデータ量が制限されてしまい、近年増加している動画や3DCADなどの大容量のデータの転送にフィットしないという問題があります。そして、このようなデータを脆弱な回線でアップロード・ダウンロードを行うと、時間がかかりすぎて、製造着手への遅延や設計者も本来業務以外の作業負荷がかかってしまいます。
これらの課題を解決するため、安全で高速、かつ簡単にデータ転送ができるサービスの研究開発プロジェクトを企画することになりました。
解決方法
「安全」「高速」「簡単」の3点を実現するための機能と、サービスとして運用するための非機能の整理を行い、全体のサービス像を検討しました。他のデータ転送やファイル共有サービスとの差別化を検討するため、ライバル製品の機能を調査して、実現するサービスの優位性の分析、販売計画と収支計画を整理した後に研究開発としてプロジェクトをスタートしました。
研究の際には、「安全」「高速」「簡単」の3つの軸に分けたうえで実験を行いました。
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1. 安全
安全に送信するためのデータ保護の方法として、暗号化よりも強度の高い秘密分散という技術を使いデータを無意味化し、確実に復元ができることを確認 -
2. 高速
多重転送による高速化の実験 -
3. 簡単
ファイル転送にかかる業務や顧客に負担がかからないようなサービスとするための、転送プロセスを整理
プロジェクトの流れ
システム稼働までは約半年間。事前調査から本番切り替えまでお客さまと綿密にコミュニケーションをとりながらプロジェクトを推進しました
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2017年4月~5月
お客さまへのヒアリング、サービス基本構想を立案。
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2017年6月
ニュースリリース、要件定義を実施。
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2017年7月
基本設計~詳細設計を実施。
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2017年8月
コーディング~単体テスト、組み合わせテストを実施。
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2017年9月
顧客環境でのPoC(Proof of Concept:概念実証)の実施、並行してシステムテストを実施。
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2017年10月
システムをリリース。
開発における課題
プロジェクトを推進するうえでは、大きく3つの課題がありました。一つ目は納期の問題です。ファーストユーザーが存在したことと、海外展開も含めたBPOサービスを初めて展開することから事業計画に時間をかけ過ぎてしまい、実際の設計から製造、リリースまでの期間が短くなってしまいました。プレスリリースも発表しており、ファーストユーザーも決定していたことから、納期は必ず順守しなければならない状況でした。
二つ目は技術力の問題です。プラットフォームの設計構築部署での起案事業だったため、開発する人財が不足していました。また、クラウドサービスの構築経験も浅く、推進部署として新しいチャレンジとなりました。
三つ目はコストの問題で、サービス提供型ビジネスとなるので、イニシャルコストはなく、月額定額利用でのサービスを想定していました。そのため、収支計画上は設計や構築などの売上および利益のボリュームゾーンとなる部分がないため、できるだけコストを抑えて開発を行う必要がありました。
これらの課題を解決するため、次の3点について工夫を行い、予定した納期にリリースすることができました。
①関係会社である日立システムズからクラウドサービス事業の経験者をコンサルとして招きレクチャーを受け、データ高速化ツールのサンプルプログラムの提供を受けて、設計と製造のスケジュール短縮を行ったこと。
②クラウド上のシステムは、当社の資産管理パッケージを土台として構築しコストを削減したこと。
③サービス運用については、当社の運用部署に設計から実装まで支援をしてもらったこと。
まさに、日立システムズグループや社内の事業部連携により、技術・人財それぞれの協力があったからこそ乗り切ることができたプロジェクトだと思っています。

お客さまの声
衣料品に強い貨物利用運送事業者として、貿易書類の作成業務を国内で長年請け負ってきましたが、業務量の順調な増加と人手不足が重なり、体制を維持することが困難な状況でした。そこで、中国の現地法人にて業務のオフショア化を考えましたが、お客さまから預かった貿易関連の機密情報を物理的輸送するには時間とコストがかかり、またメール添付や情報共有サーバーの利用ではセキュリティーリスクが高まる課題がありました。
その課題を解決してくれたのが、日立システムズエンジニアリングサービスの「グローバルセキュアデータ転送サービス」です。紹介された時点で「まさにこれを求めていたのだ」と確信し、導入を決めました。2017年10月より、本サービスを業務に導入し、オフショア化に向けてスタートすることができました。サービスを利用するにあたり、特別な環境などは構築せず、送信元と送信先のPC端末に専用のアプリケーションを設定するだけですぐに利用することができました。
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