ゼロトラストセキュリティ
近年、SOC(Security Operation Center)の導入を検討する企業が増えています。
しかし、扱う業務の専門性の高さや費用対効果を実感しにくい先行投資としての一面もあることから、なかなか導入に踏み切れていない企業も少なくありません。
そこで、この記事ではSOCの必要性や種類、導入する際の注意点を徹底解説します。
目次
ゼロトラスト セキュリティ
アセスメントから導入・運用まで
ゼロトラストセキュリティの導入を総合支援!
SOC(Security Operation Center:エスオーシー、ソック)は企業などの組織において、サイバー攻撃やセキュリティインシデントから社内を守るための専門的な監視・分析チームです。
24時間365日体制でネットワークやシステムの異常を検知し、迅速に対応する役割を担います。
また、最新の脅威情報の収集やインシデントの原因分析も行い、セキュリティ対策の強化にも貢献します。
そこで、ここではSOCの企業における立ち位置やよく混同されやすい「CRIST」や「MDR」との違いなどを含め、SOCについて解説します。
SOCには、企業や組織内に独自に設置する「社内SOC」と、外部のセキュリティの専門企業へ委託する「外部SOC」の2種類が存在します。
社内SOCは、自社の業務や環境を深く理解している社内のメンバーが中心となるため、外部SOCと比較すると他部門と密に連携を取りやすい場合が多い点が特徴です。
一方、外部SOCは、専門的な知識や豊富な経験を持つ外部のリソースを活用し、効率的な監視や分析を実現します。
これらの特徴を考慮し、自社に適したSOCの形態を選ぶことが重要です。
内部SOCと外部SOCの違いをまとめると以下です。
特徴 |
内部SOC |
外部SOC |
---|---|---|
運用形態 |
自社内で独自にセキュリティチームを構築して運営 |
外部の専門企業にセキュリティ監視や対応を委託 |
監視体制 |
自社特有のリスクや課題にあわせたカスタマイズが可能 |
カスタマイズには追加費用や契約内容の変更が発生する場合がある |
臨機応変な対応 |
自社リソースの拡充が必要で、拡張には時間やコストがかかる |
必要に応じて契約内容を変更し、迅速に規模を拡大できる場合が多い |
SOCが注目されるようになった背景にはさまざまな要因が存在します。
そこで、ここではSOCが求められるようになった背景や、トレンドについて解説します。
近年、サイバー攻撃は高度化と多様化が進んでいます。
特に、企業に対する「持続的標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)」と呼ばれる手法が深刻な脅威となっています。
この手法は、ネットワーク内に侵入後、検知されないよう慎重に行動し、機密情報の窃取やシステムの破壊を行います。
このような巧妙な手口に対応するため、24時間体制での監視や不審な動きを察知することのできるようなSOCの導入が求められています。
近年、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に代表される個人情報の保護に関する法規制が世界的に強化されています。
これらの規制は、企業に対して個人データの適切な管理や保護を求めるものです。
さらに、「金融」や「医療」といった高度な個人情報を扱う業界では、業界固有のセキュリティ基準やコンプライアンス要件が設定されており、これらを満たすことが求められるようになってきています。
しかし、SOCのようなセキュリティ専任チームなしで、これらの要件を満たすことは容易ではないでしょう。
例えば、GDPRでは個人データ漏えい時に72時間以内の報告義務がありますが、専任のセキュリティチームがいない企業では迅速な対応が難しく、適切な対策には専門知識が必要です。
そのため、SOCを導入することで専門家による監視と即応体制を確保でき、法規制への対応を強化することができます。
また、法的要件や業界固有の要件を満たすことは、内外のステークホルダーに対する信頼性の向上にも寄与するでしょう。
従来の企業のセキュリティでは「境界防御モデル」が一般的に用いられていました。
境界防御モデルとは、「社内は安全である」という前提の元に外部からの脅威を防ぐための対策を行う手法のことです。
しかし、リモートワークの普及やクラウドサービスの利用増加により、外部からだけでなくぜい弱性の低いネットワークを用いることで内部からの脅威や不正アクセスのリスクが増大しています。
このような状況で効果的なセキュリティ体制を運用するためには、企業や組織のアクセスするあらゆる領域へ介入する必要があることから、セキュリティに関する閲覧・分析の権限を有したSOCの導入が重要視されるようになっているのです。
ゼロトラストセキュリティについてさらに詳しく知りたい方は「ゼロトラストセキュリティとは?構成要素や導入の注意点も徹底解説」をご覧ください。
近年はサイバー攻撃が増加する傾向にあり、さまざまな企業でセキュリティインシデントが起こっています。
ここでは、具体的に、企業にとってどのような被害をもたらすのかを解説します。
サイバー攻撃により起こり得るセキュリティインシデントは、組織に壊滅的な影響を与える可能性があります。具体的には、ランサムウェア攻撃、サービス妨害(DDoS)、ビジネスメール詐欺(BEC)、内部犯行によりデータ流出、システム破壊、金銭的損失が起こるなど、多岐にわたるリスクが存在します。
また、セキュリティインシデント対応が遅れることで、さらに深刻な結果を招く可能性があります。具体的には、以下のような被害を受ける場合があります。
これにより、被害の規模は拡大し、以下のような深刻なリスクが生じます。
迅速かつ的確なインシデント対応は、被害の最小化と組織の存続に不可欠です。平時からの準備、即応体制の構築、継続的な訓練が、サイバーセキュリティの要となります。
ここではセキュリティインシデントが起こった際の被害を最小限に抑えるため、自社内でSOCを構築する方法を解説します。
導入を検討している場合はぜひ参考にしてください。
自社内でSOCを構築する際には、以下の準備をする必要があります。
サイバーセキュリティ分野では高度な知識とスキルが必要であり、そうした専門知識を有する人材の育成や採用も欠かせません。
例えば、「情報処理安全確保支援士」「情報セキュリティマネジメント資格」といった資格を有する人材を育成することや社内の既存人材を育成し、資格取得やスキル向上を支援する取り組みが重要です。
これらの要素を総合的に整備することで、効果的なSOCの構築と運用が可能になります。
自社内でSOCを構築するメリットには以下が挙げられます。
自社の業界特性や業務内容に応じた監視体制や運用方針を柔軟に構築できるため、企業独自の要件に対応可能です。
また、顧客データや研究開発情報など、機密性が高い情報を外部に出す必要がなく、高度な機密情報を自社内で管理可能になります。
新たな脅威への対策を通じて、自社内に運用ノウハウが蓄積されることもメリットの一つです。
自社内でSOCを構築する際には、以下の点に注意が必要です。
SOCを自社内で構築する注意点として、まず初期コストと運用コストの負担が大きい点が挙げられます。
具体的に、監視ツールの導入やセキュリティシステムの構築などに多額の資金が必要になることが多いです。
また、運用を続けるための人員の確保や定期的な教育、設備更新などのコストも発生します。
ここでは外部委託でSOCを構築する方法について解説します。
自社で設置する場合にはない強みや特徴も存在します。
自社導入を行う場合と比較して参考にしてみてください。
外部委託でSOCを構築する際には、以下の要素が重要です。
まずは信頼できるベンダーの選定が必要です。
セキュリティ運用を委託するパートナーの実績や専門性を評価し、組織のニーズに合致するベンダーを選ぶことが重要です。
特に、サービスレベル契約(SLA)の締結が重要です。
サービスの品質や対応時間、報告頻度などを明文化しベンダーの責任範囲を明確にすることで、期待するサービスを受けられるようになります。
また、導入前の現状分析も行いましょう。
自社のセキュリティ体制やリスクを把握し、外部委託によってどの部分を強化・補完するかを明確にすることができるようになります。
外部委託でSOCを構築するメリットには以下が挙げられます。
まず、専門人材を雇用する必要がない点が大きなメリットです。
サイバーセキュリティ分野では高度な知識やスキルを持つ人材が求められますが、その採用や育成には時間とコストがかかります。
外部委託では、専門企業の豊富な人材を活用できるため、自社内で人材を確保する負担を軽減できます。
設備や人材など初期投資を抑えられる点や最新のセキュリティ技術にアクセス可能という点も重要です。
外部委託でSOCを構築する際には、以下の注意点があります。
外部委託では監視や分析の大部分を外部ベンダーに任せるため、対応速度や品質が委託先の能力に依存します。
また、カスタマイズの自由度が低い点も注意が必要です。
一般的なセキュリティニーズに基づいて標準化されていることが多く、自社特有のリスクや要件に完全には対応しきれない場合があります。
SOCを導入する際は自社のリソースやセキュリティ要件を洗い出したうえで行うことが重要です。
また、セキュリティを強化するうえでは、自社の置かれている状況を正確に把握することができるように意識することが必須です。
日立システムズエンジニアリングサービスの「ゼロトラストセキュリティ」ソリューションでは、自社でSOCの設置の難しい企業や組織に対して、「アクセス制御の実装」「ネットワークセグメントの設計」「認証強化」「脅威監視」「セキュリティポリシー策定」を一括して任せることができます。
日立システムズエンジニアリングサービスのセキュリティソリューションについてさらに詳しく知りたい方は、日立システムズエンジニアリングサービスの「ゼロトラストセキュリティ」ソリューションをご覧ください。
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